よくあるご質問

遺産から入院費や葬式代を支払いました。相続放棄は認められますか。

相続人は、限定承認または相続放棄をするまでは、相続人の固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければなりません(民法918条1項)。また、相続財産の保存行為を行うことは、単純承認事由に該当しません(同921条1項但書)。
したがって、限定承認または相続放棄をするまでの間に、財産の保全行為、すなわち財産の現状を維持する行為をすることは処分行為にはあたりません。
財産の現状を維持する行為とは、家屋の修繕や債権の消滅時効を中断する行為が一般的ですが、期限の到来した債務の弁済も含まれると解されています。
そのため、入院費の支払は保存行為として行うことができます。
次に、葬式代の支払いですが、葬儀は相続人が行うものであり、被相続人の債務ではないため、相続財産の中から葬式代を支払うことが相続財産の処分(同921条1項)にあたるかが問題となりますが、被相続人の社会的地位に応じた葬式費用であれば、処分にはあたらないとされています。

(相続財産の管理)

第918条

1.相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
2.家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
3.第27条 から第29条 までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

(法定単純承認)

第921条

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

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